ニューヨークのサブウェイ(地下鉄)。それはニューヨーカーにとって生命線と言っても過言ではないだろう。地図で見るとこんな感じである。
https://new.mta.info/map/5256
何を隠そう、筆者はこのニューヨークのサブウェイをこよなく愛している。サブウェイ無しにニューヨークは語れない。
しかし、初めてニューヨークを訪れる場合、わからないことや混乱することも多いだろう(筆者も最初は慣れるのに苦労した)。そこで今回はマンハッタンのエリアを中心に、現地で暮らす大学生目線でニューヨークの地下鉄を徹底解説していこうと思う。
ニューヨークのサブウェイの基本情報
ニューヨークの地下鉄の線は大きく分けて24の線に分かれており、472駅が存在する。路線の一覧としてはこんな感じ。(諸事情により菱形の囲い数字の入力ができなかったため、⓺、⓻のように二重丸で代替した)表はスマホで見ている場合、横画面にして見てほしい。
路線名 | 各駅停車 (Local) | 急行 (Express) | 色 |
Broadway – 7th Ave. | ① | ② ③ | 赤 |
Lexington Ave. | ⑥ | ④ ⑤ ⓺ | 緑 |
Flushing | ⑦ | ⓻ | 紫 |
8th Ave. | Ⓒ Ⓔ | Ⓐ | 青 |
6th Ave. | Ⓕ Ⓜ︎ | Ⓑ Ⓓ | オレンジ |
Broadway | Ⓡ Ⓦ | Ⓝ Ⓠ | 黄色 |
Nassau St. | Ⓙ Ⓩ | 茶色 | |
Canarsie | Ⓛ | 薄灰色 | |
Crosstown | Ⓖ | 黄緑 | |
Various shuttles | Ⓢ | 濃灰色 |
数字とアルファベット、色が入り混じっており少しわかりにくい。これは、現在のサブウェイの会社であるMTA (The Metropolitan Transportation Authority) が過去にBMT、IRTなど複数の会社に分かれていたことに由来する。
路線名はどのアベニュー、ストリートを通っているかで決められており、基本的にそれぞれの線に各駅停車と急行の路線が分かれて存在する。日本の路線で例えていうのであれば、JR東日本の中央線(各駅停車と快速が分かれている)に近い。
また、サブウェイは24時間営業となっており、基本的に終電がない。ただし深夜は路線が変わったりするので、夜中12時以降に利用する予定のある人はMTA公式HPの Night Subway Map を確認しよう。(https://new.mta.info/map/5336)
運賃の支払いはクレジットカードが便利
OMNYシステムを活用しよう
では、実際にサブウェイに乗ってみよう。運賃は固定されており、一回乗るために$2.90かかる。
日本の電車であればSuicaやPasmoで改札に入り、降りる時に実際に乗った距離によって運賃が決定されるが、ニューヨークのサブウェイは改札に入る時にタッチ決済の機能が付いたクレジットカード、またはApple Payに登録されたカードをかざせば良い。これは最近できたシステムであり、OMNY(One Metro New York)と呼ばれるものである。
Get free rides with the 7-day fare cap(七日間の運賃の上限を利用してタダでサブウェイに乗ろう)
https://omny.info
OMNYの最大の魅力はFare Capと呼ばれる割引システムだ。週に12回以上同じクレジットカードで運賃を払えば、その週の残りの運賃は払わなくていいという太っ腹な制度である。すなわち、一週間に$34以上($2.90×11 + $2.10) 払うことはないのである。
ちなみにOMNYの決済システムはバスでも採用されているため、バスの分もカウントされる。通学や通勤をしている人々からすると、交通費削減を狙える嬉しい仕組みである。
OMNYの公式サイト(https://omny.info)に飛び、アカウントを作成してクレジットカードを登録すると、自分が後何回で12回に到達するのか確認することができる。
OMNYアカウントに登録した筆者のクレジットカード。9/19-9/25日のFare Capが達成されている(12回以上乗った)ことが確認できる。
筆者のTrip history(利用履歴)。途中から運賃が$0.00になっている。
ただし注意点がある。筆者は日本で発行されたMasterCardを2枚登録したが、なぜかOMNYアカウントに利用履歴がつかなかった (後日クレジットカードの明細を見たところ、ちゃんと12回目以降はタダになっていたのだが…)。 問い合わせたところ、日本のカードだからかも?と言われてしまった。
自分のアカウントのページからTrip History (履歴)は確認できるので、自分のカードがちゃんと連携できているか確認しよう。
豆知識
小ネタではあるが、ニューヨークではゲートを飛び越えて運賃を払わないFare Evasionが深刻な問題となっている。
A man is seen hopping over a subway turnstile in Queens on Oct. 17, 2022.
(2022年10月17日、クイーンズにて、サブウェイのゲートを飛び越える男を目撃)
https://www.audacy.com/1010wins/news/local/mta-uses-armed-guards-to-crack-down-on-fare-evaders
こんな感じ。
筆者ももちろん何回もこのような場を目撃したことがある。初めて見た時(寮の友達がやってた)は衝撃的だったが、慣れてくると日常茶飯事であることに気づく。
というか、それより衝撃的なのは、駅にいる警察官、MTA の職員でさえ、この場面に遭遇しても知らんぷりである。中から開けられるEmergency Exit (非常ドア) は開けるとピヨピヨと警報音が鳴るが、それでもガン無視である。
MTAは運賃を払わないFare Evadersと呼ばれる人たちのせいで、年間約3億ドル、日本円にして約450億円超の損失を被っているらしい。なぜもっとちゃんと取り締まらないのか。理解に苦しむところである。
Google MapやMymta など、アプリを駆使しよう
地下鉄に乗る際、おすすめなのがGoogle Mapや、AppleのMapなどの地図アプリだ。現在地と目的地を入力し、公共交通機関を調べると目的地までどうやってサブウェイ(またはバス)を乗り継いでいくのか教えてくれる。
ただし、これらの地図アプリは最新の遅延情報を反映しない場合もある。その時には、MYmtaというMTA公式のアプリ(日本語未対応)を活用するのも手である。日本語に対応してないのがネックだが、App Storeからダウンロードできるのでぜひ利用してみよう。
ニューヨークのサブウェイの治安は?
「実際サブウェイって、危険なの?」
東京よりは明らかに治安が悪い
正確に答えるのは難しいが、東京の地下鉄(東京メトロや都営地下鉄など)に比べたら治安はだいぶ悪いと言えるだろう。
一言で言えば、カオスである。駅のホームや階段にホームレスやドラッグ中毒者はザラにいるし、大声で喧嘩しているような人々もよく見かける。信じられないほど大きな音でスピーカーから音楽を流し電車に入ってくる人もいれば、ギターとマイクを持ち込み車内で突然車内ライブをしだすような人もたまにいる。
日本では考えられないことが多すぎて、びっくりするだろう。
そしてもちろんのことだが、エリアにもよると言ってもいい。必ずしも危険とは断言できないが、例えばセントラルパーク以北、ハーレムに入ると駅の雰囲気はガラッと変わるし、ブロンクスやブルックリンの一部地域はやはりマンハッタンより危険である。
また、時間帯も大きな要因だ。24時間営業のサブウェイは、やはり遅い時間帯になればなるほど治安は悪くなる。
ちなみに、SNSにはそんなカオスなサブウェイの様子を紹介してくれる愉快なアカウントがある。その名もSubway Creatures。以下はInstagramのアカウントだが、YouTube, TikTok, X など主要なプラットフォームにアカウントがあるのでぜひチェックしてみよう。想像の五倍はヤバいはずである。
気を付けるべきこと
そんな治安があまりよろしくないニューヨークのサブウェイ。しかし、油断は禁物だが、いくつかのことに気をつければ怖がる必要はまったくない。筆者がいつも気を付けているポイントをいくつか挙げておこう。
- スマホ、財布などの貴重品は基本的にはポケットの中やカバンの中にしまい、目が届くようにしておく。
- バッグや身の回りのものは自分から離さず、肩にかけるなど引っ張られても盗られないようにする。
- 何事が起こっても、動じない。気にしない。(ニューヨーカーたちはこれがすこぶるうまい)
- ホームレスが来てもお金を渡さない、財布を出さない。
- 自分がよく知らないエリアに夜一人で行かない。
- 寝ない(←これ重要!!)
観光客にありがちなのが、変な人が来たり何かが起こると動揺してしまうということだ。そんな時は周りのニューヨーカーを見てみよう。彼らは何も気にしてない。この「動じない」というメンタルは非常に重要である。
また、東京の電車では多くのサラリーマンや学生が寝ているのを目にするだろう。ニューヨークではそんなことしている場合ではない。眠くても夜のサブウェイで間違っても寝ないようにしよう。身の為である。
ニューヨークのサブウェイは面白い!
安くて市内のどこにでもいけるサブウェイは、ニューヨーカーの足である。タクシーや徒歩で移動するのもいいが、ニューヨークを訪れた際にはぜひサブウェイを利用してみよう。地元の雰囲気を味わえる、ユニークな体験となることに間違えない。